PART1 第3回目
インボイス制度導入後の注意点!!

インボイス制度
皆様、お世話になっております。
税理士の佐藤治夫です。

今年の10月1日から消費税は「インボイス」制度
始まります。
消費税の計算上、「インボイス」がないと困ることが生じます。
そこで、「インボイス」に関連して気をつけていただきたいことを皆様にお伝えします。

仕入税額控除とは??

クレジットカードで支払をしているからと、
お店が発行する領収書をもらわず、
カード会社が発行している明細だけを保存している方は多いですね。

このやり方ですと、消費税では「仕入税額控除」ができません。
「ん、何だ、その仕入税額控除って?」
と思われた方も多いでしょうか?

「仕入税額控除」とは皆様がお客さんにから預かった消費税から
自社が支払った消費税を引くこと
をいいます。

例えば、売上が1,100,000円ですと、
預り消費税が100,000円となります。
また、経費として770,000円を使ったとすると、
70,000円が支払消費税となるわけです。
そして、消費税の計算は、100,000円-70,000円=30,000円を国へ納付しています。

ところが、この支払った70,000円の控除が認められないと、
納税額は100,000円となってしまいます。
要件を満たさないと「仕入税額控除」ができません。

実は、カード会社が発行している明細は「インボイス」ではありません。
そのため、「仕入税額控除」の要件を満たしていないことになります。

国税側の注視と強化

クレジットカード会社が発行する明細だけで処理(保存)していたため、
税務署から否認指摘される事案が急増しているようです。

国税側もインボイス制度の開始を前に、
消費税の「形式要件」に関して確認・否認指摘を
注視・強化している
ことがうかがえ、税務調査において
それを明言する調査官もいるようです。

まずはそもそも論から解説しますが、
ネットや店舗等でクレジットカード払いをした場合、
販売した事業者は信販会社(VISA・JCB・AMEX
などのクレジットカード会社)に対して債権譲渡をした
という理解になります。図示すれば下記となります。

国税庁質疑応答事例「クレジット手数料」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/06/02.htm

クレジット払い時の領収書とインボイスの関係

さて、ここから本論ですが、クレカ払いをした場合、
信販会社から発行される請求明細書については
仕入税額控除の要件を満たさず、あくまでも
クレカ払いをした相手方事業者から発行された領収書等が
「インボイス」になります。

国税庁の質疑応答事例にも下記が明記されています。

「カード会社からの請求明細書」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm

なお、この質疑応答事例は若干理解しづらいのですが、
利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、
「ご利用明細」等を発行しており、それをもって
「請求書等に該当」つまり仕入税額控除の要件を満たすと
記載されています。これは店舗等でクレカ払いをした場合に
発行される「クレジット売上票」を指していると推察します。

画像で明示すると下記の「利用伝票(売上票)」です。
https://www.j-credit.or.jp/customer/find-new-life-magazine/creditlife9.html

ですから原則として、相手方事業者が発行した
領収書の保存がない場合、仕入税額控除の要件を
満たさないことに変わりはありません。

実際の税務調査では、調査官も形式要件
(=クレカ明細はあるが領収書がない)だけをもって
強く否認しようとはしないようですが・・・

インボイス制度導入前に理解しておこう!

インボイス制度が導入されることにともない、
領収書保存はマスト
になるわけですが、その前から
きちんと理解しておきましょう。

なお、ネットでの購入等、領収書等が発行されない場合の
対応については下記の質疑応答事例を参照してください。

「インターネットを通じて取引を行った場合の
仕入税額控除の適用について」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/11.htm

「こっちだって消費税払っているんだから、
売上の消費税から払った消費税を単純に引いてくれれば良いのに」
まあ、そうもいかないのが面倒なところです。
消費税、だんだんとやっかいな税になってきました。

クレジットカードの基礎知識 | FIND NEW LIFE MAGAZINE forクレジット | 一般社団法人日本クレジット協会
www.j-credit.or.jp

※記載内容は、令和5年6月1日現在の法令に基づいています。
また、このウェブサイトで使用される「消費税」という用語には、消費税および地方消費税が含まれています。